ひみつのコウカン♡ダイアリー

強くて可愛い男の子

ジャニーズオールスターズアイランド

ジャニーズオールスターズアイランドの1シーンで平野紫耀くん

『僕だって強くないんだ!』

と胸の内を晒すシーンがある。

『両親が小さい頃離婚した。母さんは夜遅くまで働いてくれた。母さんだけが僕の望みだった。東京に来る時その母さんに脳の病が見つかった。僕は手術の日も舞台で踊っていた。一緒にいてあげる事すら出来なかった。でも母さんを安心させるために僕は舞台に立ち続ける』(※ニュアンスです)

このシーンを初めて帝国劇場で見る前にノンフィクションの事実だと知った。

彼から発せられるその言葉は抽象的ではなく文言、時系列ともにやけに具体的だった。

どう受け止めればいいのかいまだ分からない。

しかし今だからはっきりしている事がある。

私は『現実がしんどくて辛くて考えたくなくてそこから逃げる為に夢を見せてくれるアイドルにお金を使う女』しかもきっと日本代表である。

いつでも弱い所を見せない可愛くて平和なぽけーとしていてなんかころころしてて可愛い。みんなに好かれていて野生児で怒らない。実は野心家でまずは関西ジャニーズJr.で認められればみんなの目に留まると思ったと嗅覚の良さと天性のセンスと才能。横断歩道で側転している姿を目撃されるアバンギャルドさ。2匹の猫にねねちゃんはなちゃんと名付け、加藤ミリヤのlalalaに思いを重ねながら猫を思う拗らせ女子な所。
少なくても私は平野紫耀くんにこういう偶像を抱いていたし、抱いていたかったし、憧れだった。好きだった。

ジャニーズJr.の中で生まれ変われるなら間違いなく平野紫耀になりたい。

気が付いたら彼が愛用しているクロムハーツのピンクの石が付いたネックレスが欲しくなってしまっていた。(そんな簡単に買える値段じゃなかったしクレアーズに売ってないかな)
雑誌を見ながらこのぷっくりとした涙袋になる為にはヒアルロン酸を何cc注入すれば私もいけるのかなどと彼の目の下のブラックホールに思いを巡らせていた。

コンサートで見てもいつも期待を裏切らない頭の良さと身の振り方のうまさ。私はどこか平野紫耀という人物に安心していたしスカッとしていた。
何を錯覚したのかその安定さはまるで私の思い通りに可愛さや強さ、希望を表現してくれる愛おしいペットみたいだった。

ところがこの告白は底知れぬ意思を持って動き出したようで演出だとわかっていても怖かった。
事実から目を背ける事は許されないことだろうか?自分勝手に理想を描き偶像を愛でる事は悪だろうか。
事実全てをさらけ出していた彼は違うその偶像は間違っている僕はそんな奴じゃないと私が勝手に作り上げたアイドル像を奪っていくようだった。

私は何をしているんだろう。何を見に来ているんだろう。息も出来ないような告白の時間に今すぐ外に出て日比谷公園の水分を含んだ濃い空気が吸いたくなった。

けれど私はこれからも平野紫耀さんの事を自分勝手に想像し繰り返しつぶやき心を軽くするだろう。

◾︎

それから...
佐藤勝利さんが父の死を告白するシーン。

事実だという事を知ったのは初観劇の前のメディアでの報道だった。観劇する前から身構えてしまう程だった。

そこまで身を削る必要はあるの...もちろんそう思っていた。

『もういないんだよ...父さん..』

彼は73回父の死を帝国劇場の舞台で告白する事で救われるのだろうか。変わるのだろうか。その彼にしか出来得ない姿をお父様は天国で見ていてくれるのだろうか。
何時間何日考えてもそんなのわかりっこなかった。そこに残るのは彼のお父様は亡くなってアイドルの彼は帝国劇場の舞台で父の死というこの世の悲しみの果てを毎日さらけ出している。彼をアイドルとして手解きしたジャニー喜多川社長の演出によって。という事実だけだ。それだけだ。
きっと私には何もわからない。人の死というものを自分の中で解釈しようと言葉にしようとする事は間違いなのだと思う。言葉にすれば真っ暗な闇の中に放り出されてしまうようだった。

アイドル佐藤勝利の熱っぽい台詞や潤んだ目。その目の奥にいた20歳の普通の男の子の悲しみの果てを私は忘れない。

同じ舞台上には彼を慰める役として岸優太くんがいた。不本意ではあるが私は73回のこのシーンに親友である岸優太くんが居ることが拠り所になっていた。勝利さんが落とした嘆き、悲しみを同じ舞台上にいる岸くんがひとつひとつ丁寧に心で拾ってくれていると思う事が出来たからだと思う。この優勝が私が見るこれからも今までも1番哀しい2人であってほしいと願うしかなかった。それだけしか出来なかった。