読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ひみつのコウカン♡ダイアリー

強くて可愛い男の子

浮所飛貴と帝国劇場と私

双眼鏡越しに浮所くんの姿が見えた。


ただこの誰が発明したかわからない機械の円の中心に彼はいた。


◼︎
私は浮所飛貴くんが好きだ。
カッコよくて綺麗で可憐で優雅、美しくて若くて無垢。彼にしか作れない高揚があった。私に無いものを彼は全て持っていた。

浮所くんより顔がかっこいいジャニーズJr.や男は腐るほどいた。正直浮所くんのダンスが上手いとも全く思わない。(むしろ結構下手だと思ってる。なんかいつも立ち位置ずれてるし...朝礼で並んでる時にいつも1人だけズレてる男子かよの可愛い)

しかし私は今現在世界のカッコいい男ランキング1位浮所飛貴を据えている。


なんで私は中学3年生のジャニーズJr.のこの男にこんなにも執着しているんだろうと死刑台に立たされる気分になる時があった。そんな事思いながら応援するのはきっと本人にも失礼なんだろうと思いつつもこの思いに苛まれ続ける日々は悪い夢のようになかなか終わらなかった。


きっとオタクがアイドルに墜ちる時なんてモフッとした猫を飼いたいなと思っていたら道端にたまたまモフッモフッとした猫が落ちていてこちらを向いてアニャンと鳴くもんだから拾ってみただけなんだと思う。


私はあの日六本木のEXシアターという大きな段ボールの中の浮所くんを拾ってみた。


そこに初めから理由なんてないのかもしれない。



ある時、職場で好きな芸能人の話しになった時があった。本当にこういう時にどうしたらいいのか分からないので綾野剛いいよね』という模範回答を私は名刺代わりに用意している。(ほんとに綾野剛さんの事は好きなので怒らないで許してトライストーンエンターテイメント※1)

なぜなら以前実は少しジャニーズを好きと発言した途端、待ってましたとばかりに『いい年した女がジャニーズ?出たジャニオタ!』と小馬鹿にしてくる何処の職場にもよくいるクソおやじがいた。(しかもだいだい風俗狂い)
それはきっと同時に世間の声なのだろう。


三代目JSoulBrothersは良くてジャニーズは駄目なのか?もう”ジャニーズJr.が好き!しかも14歳の男の子が大好きでたまらないの!”だなんて何も知らない無邪気な子供のように言う事は出来なかった。ムチに打たれ血まみれになりながら口にガムテープをされ重い十字架を背負いゴルゴタの丘※2へ歩いているようだった。

私は徐々に喋らなくなっていった。

以前はほぼ毎月1位だった営業成績も次第に落ちていった。
私は中学生の偶像を生活の中心に起き始めた頃から、EXシアターの隅で彼を見つけたあの日からおかしくなっていたように思う。そしてただ会社に縋り付いてるだけの置物女になっていった。
それでも十字架に磔(はりつけ)にされに行くかのように毎日毎日会社へ行った。職場では私の周りだけ時計の針が狂ったように感じた。それでも浮所くんに会うチケット代を稼ぐ為にはここに来なければならなかった。

◾︎

彼がもし果物なら千疋屋で木箱に入れられて大切に売られているだろう。


以前浮所くんの事をブログの中でこう例えた事があった。
今だから言える。彼は甘くて爽やかで香り豊かな千疋屋のメロンなんかではなかった。
彼は深夜に食べる背脂たっぷりのラーメンだ。豚骨のスープは油でキラキラと輝きこちらを誘惑し、まんまとスープの罠にハマり背脂まみれになった細麺は喉をコーティングし地球を守るオゾン層のような勇敢な顔をしている。その上に乗るチャーシュー、卵、のり、メンマは激戦の中を闘いぬいただけの具選抜なだけあり洗練されていた。深夜ラーメンは最強のシャブだが翌朝の胃もたれとやっちまった感は人をダメにする。彼を好きである日常に罪悪感は付き物であった。


浮所くんが私が作り出す偶像でしか過ぎないのと同じように私も彼が作り出すファンの偶像の一部にしか過ぎないのだろう。偶像は頼りなくこちらを見ていた。もういっそホストにでも狂えれば楽なのに。


◾︎
12/8
私は叫んだ。
AM11:30
チケットには13時開演の文字
ジャニーズに入所し初舞台の自担を見に行く日に私はやってしまった。
そうだ。いつもの経路ではどう頑張っても間に合わないのだ。
『こんな行き方もあります』
私のiPhoneの中の乗り換えアプリは頭がよくて本当にいいやつだった。友達になりたかった。相互フォローになりたい。

私は新幹線で帝国劇場へと向かう事になった(※東京在住)
乗り換えアプリさん(相互)の導きで新横浜に降り立った私は遠征気分で崎陽軒で『シューマイ弁当ひとつ!』と嬉々と注文しそうなくらいには楽しくなっていた。

『浮所くん行き』に行き先を変更した猫バスは世界を2つに分けるように切るようなスピードで走りだした。今日と明日、希望と絶望、浮所くんと私。


◾︎
帝国劇場の赤い椅子は適度な柔らかさと硬さで私を受け入れてくれた。もしかしたら雲の上に乗れたらこんな乗り心地なのかもしれないと考えると気分が高揚した。

浮所くんは以前より”今らしさ”を帯びていたが相変わらず優雅な妖精だった。

1幕始めから東京B少年※3の一員として『hidaka〜!!』と名前付きで紹介されており思わず笑ってしまった....1幕のオープニング、戦争シーン、殺陣、三味線、マーチングバンド、オリンピック、オリジナル曲とソロダンスもあり少年倶楽部の収録出演時間のべ1年分を一気に食らい頭で理解するのに時間がかかった。
死ぬほど推されていた
少年倶楽部の収録ののべ5分程度の出番を一目見たいが為に出向いてた私にとってもうそれは私にとってはありがとう、でもちょっとはやいかな...いやこんな浮所くんは素敵なのだから推されてほしい推してくれの攻防戦だった。



話が脱線してしまうが”推され”について私の主観を述べておきたいと思う。
推されるには推されるだけの理由と意義が必ずあるのだ

私は2014年の初頭くらいからジャニーズJr.に興味を置き始めるようになった。
その当時彼ははまだ入所したばかりだったが所謂”激推され”っていう存在だった。
髙橋海人くんだ
彼はもう私が行く現場どこにでもいた。4月ガムシャラj'spartyvol.3、4月セクボクリエを見に行ったら何故かゲストとして出てきたし、5月SexySecondにももちろん出てたし挙句の果て当時仕事で渋谷をダッシュしていたら地下鉄の入り口からひょこっともぐらのように出てきた彼に遭遇した事もあった。もうカイちゃん祭りだった。
もちろん他のJr.達との入所してからの歴の差は埋められない。
そう歓声が少なかった。
それから間もなく2014年の7月さいたまスーパーアリーナでSexyZoneのコンサートがあった。1日3公演というジャニーズお決まりのブラック仕様。
今考えるともう何もかも最悪だった。私はセクゾ担ではないけれどセク鬱的な意味でももう思い出したくないしJr.担として言うとリハをほとんどしていないのか振りが圧倒的に入っていなかった。メインバックですら。だってJr.よりオタクの方が踊れたんだからもう外周のJr.も笑っちゃっていた。
そこに一際目を引く外周で明らかに踊れていた男がいた。髙橋海人くんだった。

セクゾ埼玉は全体的にバックの振りが壊滅的だったけど(無所ちゃんは除く)カイちゃんは新曲の振りも間違えずに踊れていてアメジストみたいな済んだ眼でどっしり構えていて..出来るべき事を当たり前に出来る子が推されるのはゴリ推しでもなんでもないんだ...ごめんねとこの時から見る目がかわった

posted at 2014.11.27.21:50:11

普通に踊る事を普通にこなしていた。彼は誰よりもプロだった。ジャニーズJr.の仕事を理解していた。そんな事になんで今まで気付いてあげられなかったんだろう。彼は本物だった。その後彼は平野紫耀くんと永瀬廉くんと出会ってユニットを組みMr.KINGとして活動している。私は髙橋海人くんの掲載された雑誌をチェックしないので彼の心情はわからないがきっと彼の世への出方は苦しかったんじゃないかと思う。しかし今は彼の事をゴリ推しなんていう人は1人もいないはずだ。
たまにもう何も怖いものなんてないとキリストのような目をするのが彼の歩んできた道を物語っているのだろうか。
推されは正義だ


浮所くんもムチに打たれ血まみれになりながらまたゴルゴタの丘へ向かう推されの重い十字架を背負い始めてしまったのだろうかと暗い気持ちになったがきっとそうではない。
無垢な目の奥にはきちんと近い未来が映っているはずだ。

東京B少年実力ないのに推されすぎ、ダンスのリズムが遅れがち、やっぱり平野紫耀に似てなんかいないとか似てるとかもう何もかもどうでもよかった。彼を生き辛くするは全てのものをダイソンで吸い込んでやりたい。

きっとその度に私は彼をまた好きになるだろう。

そんな事しか思えずに舞台を見ていた。

ジャニーズオールスターズアイランドを観終わった私は何とも言えない辛い気持ちになっていた。

開演の時間から私の腕時計が止まっていた事に気付いた。


『楽しかったね〜』公演終了後横を通りすぎた女子達は笑顔で満足気にクリスマスに浮かれた有楽町の街へ消えていった。
彼女達と私は全く別の舞台を見ていたのではないか?もしかして彼女達は『君の名は』でも見てきたのではないか?そんな気持ちになり怖くなった。

もやもやの理由を突き詰めて行くのは億劫だったが意外にもすぐにその理由にもたどり着いた。

私は浮所くんの成長や変化=消耗と捉えていたのだ。

私はあの夏にEXシアターのすみっこで見つけた浮所くんの事を4辺が角ばった新品の消しゴムか何かと錯覚していたのであろう。まっさらで本当に綺麗だと思った。
その角は消耗されどんどん丸くなっていくようで明日にはまるで知らない姿になってくようで恐怖だった。

誰の手によって角は丸くなりいつどれだけ変化したのか私は見逃しているのだ。それは絶望だった。すくってもすくっても手の間から溢れ落ちる1シーン1シーンを針と糸で必死に繋ぎ合わせて私は全部知っているような顔をしていた。私は何も知らなかった。

私にとって世界は”浮所くんとその他”という2つの意味でのみ成り立っていた。その他は私にとっての絶望で浮所くんは希望だった。


突然のキモオタガンギマリの襲来にツイッターにこの舞台の感想の一言を言う事も出来ず東京駅へのイルミネーションの中をとぼとぼと下を向き歩き家路を急いだ。


家に着くと家で飼っている熱帯魚に彼の輪郭がそっくりだと気付いた。


気付くと左腕の時計は動き出していた。


月島紗南


※1綾野剛さんが所属する芸能事務所
※2新約聖書イエス・キリストが十字架に磔にされた丘
※3浮所飛貴くんの所属ユニット名、推されている。