ひみつのコウカン♡ダイアリー

強くて可愛い男の子

浮所飛貴と帝国劇場と私

双眼鏡越しに浮所くんの姿が見えた。


ただこの誰が発明したかわからない機械の円の中心に彼はいた。


◼︎
私は浮所飛貴くんが好きだ。
カッコよくて綺麗で可憐で優雅、美しくて若くて無垢。彼にしか作れない高揚があった。私に無いものを彼は全て持っていた。

浮所くんより顔がかっこいいジャニーズJr.や男は腐るほどいた。正直浮所くんのダンスが上手いとも全く思わない。(むしろ結構下手だと思ってる。なんかいつも立ち位置ずれてるし...朝礼で並んでる時にいつも1人だけズレてる男子かよの可愛い)

しかし私は今現在世界のカッコいい男ランキング1位浮所飛貴を据えている。


なんで私は中学3年生のジャニーズJr.のこの男にこんなにも執着しているんだろうと死刑台に立たされる気分になる時があった。そんな事思いながら応援するのはきっと本人にも失礼なんだろうと思いつつもこの思いに苛まれ続ける日々は悪い夢のようになかなか終わらなかった。


きっとオタクがアイドルに墜ちる時なんてモフッとした猫を飼いたいなと思っていたら道端にたまたまモフッモフッとした猫が落ちていてこちらを向いてアニャンと鳴くもんだから拾ってみただけなんだと思う。


私はあの日六本木のEXシアターという大きな段ボールの中の浮所くんを拾ってみた。


そこに初めから理由なんてないのかもしれない。



ある時、職場で好きな芸能人の話しになった時があった。本当にこういう時にどうしたらいいのか分からないので綾野剛いいよね』という模範回答を私は名刺代わりに用意している。(ほんとに綾野剛さんの事は好きなので怒らないで許してトライストーンエンターテイメント※1)

なぜなら以前実は少しジャニーズを好きと発言した途端、待ってましたとばかりに『いい年した女がジャニーズ?出たジャニオタ!』と小馬鹿にしてくる何処の職場にもよくいるクソおやじがいた。(しかもだいだい風俗狂い)
それはきっと同時に世間の声なのだろう。


三代目JSoulBrothersは良くてジャニーズは駄目なのか?もう”ジャニーズJr.が好き!しかも14歳の男の子が大好きでたまらないの!”だなんて何も知らない無邪気な子供のように言う事は出来なかった。ムチに打たれ血まみれになりながら口にガムテープをされ重い十字架を背負いゴルゴタの丘※2へ歩いているようだった。

私は徐々に喋らなくなっていった。

以前はほぼ毎月1位だった営業成績も次第に落ちていった。
私は中学生の偶像を生活の中心に起き始めた頃から、EXシアターの隅で彼を見つけたあの日からおかしくなっていたように思う。そしてただ会社に縋り付いてるだけの置物女になっていった。
それでも十字架に磔(はりつけ)にされに行くかのように毎日毎日会社へ行った。職場では私の周りだけ時計の針が狂ったように感じた。それでも浮所くんに会うチケット代を稼ぐ為にはここに来なければならなかった。

◾︎

彼がもし果物なら千疋屋で木箱に入れられて大切に売られているだろう。


以前浮所くんの事をブログの中でこう例えた事があった。
今だから言える。彼は甘くて爽やかで香り豊かな千疋屋のメロンなんかではなかった。
彼は深夜に食べる背脂たっぷりのラーメンだ。豚骨のスープは油でキラキラと輝きこちらを誘惑し、まんまとスープの罠にハマり背脂まみれになった細麺は喉をコーティングし地球を守るオゾン層のような勇敢な顔をしている。その上に乗るチャーシュー、卵、のり、メンマは激戦の中を闘いぬいただけの具選抜なだけあり洗練されていた。深夜ラーメンは最強のシャブだが翌朝の胃もたれとやっちまった感は人をダメにする。彼を好きである日常に罪悪感は付き物であった。


浮所くんが私が作り出す偶像でしか過ぎないのと同じように私も彼が作り出すファンの偶像の一部にしか過ぎないのだろう。偶像は頼りなくこちらを見ていた。もういっそホストにでも狂えれば楽なのに。


◾︎
12/8
私は叫んだ。
AM11:30
チケットには13時開演の文字
ジャニーズに入所し初舞台の自担を見に行く日に私はやってしまった。
そうだ。いつもの経路ではどう頑張っても間に合わないのだ。
『こんな行き方もあります』
私のiPhoneの中の乗り換えアプリは頭がよくて本当にいいやつだった。友達になりたかった。相互フォローになりたい。

私は新幹線で帝国劇場へと向かう事になった(※東京在住)
乗り換えアプリさん(相互)の導きで新横浜に降り立った私は遠征気分で崎陽軒で『シューマイ弁当ひとつ!』と嬉々と注文しそうなくらいには楽しくなっていた。

『浮所くん行き』に行き先を変更した猫バスは世界を2つに分けるように切るようなスピードで走りだした。今日と明日、希望と絶望、浮所くんと私。


◾︎
帝国劇場の赤い椅子は適度な柔らかさと硬さで私を受け入れてくれた。もしかしたら雲の上に乗れたらこんな乗り心地なのかもしれないと考えると気分が高揚した。

浮所くんは以前より”今らしさ”を帯びていたが相変わらず優雅な妖精だった。

1幕始めから東京B少年※3の一員として『hidaka〜!!』と名前付きで紹介されており思わず笑ってしまった....1幕のオープニング、戦争シーン、殺陣、三味線、マーチングバンド、オリンピック、オリジナル曲とソロダンスもあり少年倶楽部の収録出演時間のべ1年分を一気に食らい頭で理解するのに時間がかかった。
死ぬほど推されていた
少年倶楽部の収録ののべ5分程度の出番を一目見たいが為に出向いてた私にとってもうそれは私にとってはありがとう、でもちょっとはやいかな...いやこんな浮所くんは素敵なのだから推されてほしい推してくれの攻防戦だった。



話が脱線してしまうが”推され”について私の主観を述べておきたいと思う。
推されるには推されるだけの理由と意義が必ずあるのだ

私は2014年の初頭くらいからジャニーズJr.に興味を置き始めるようになった。
その当時彼ははまだ入所したばかりだったが所謂”激推され”っていう存在だった。
髙橋海人くんだ
彼はもう私が行く現場どこにでもいた。4月ガムシャラj'spartyvol.3、4月セクボクリエを見に行ったら何故かゲストとして出てきたし、5月SexySecondにももちろん出てたし挙句の果て当時仕事で渋谷をダッシュしていたら地下鉄の入り口からひょこっともぐらのように出てきた彼に遭遇した事もあった。もうカイちゃん祭りだった。
もちろん他のJr.達との入所してからの歴の差は埋められない。
そう歓声が少なかった。
それから間もなく2014年の7月さいたまスーパーアリーナでSexyZoneのコンサートがあった。1日3公演というジャニーズお決まりのブラック仕様。
今考えるともう何もかも最悪だった。私はセクゾ担ではないけれどセク鬱的な意味でももう思い出したくないしJr.担として言うとリハをほとんどしていないのか振りが圧倒的に入っていなかった。メインバックですら。だってJr.よりオタクの方が踊れたんだからもう外周のJr.も笑っちゃっていた。
そこに一際目を引く外周で明らかに踊れていた男がいた。髙橋海人くんだった。

セクゾ埼玉は全体的にバックの振りが壊滅的だったけど(無所ちゃんは除く)カイちゃんは新曲の振りも間違えずに踊れていてアメジストみたいな済んだ眼でどっしり構えていて..出来るべき事を当たり前に出来る子が推されるのはゴリ推しでもなんでもないんだ...ごめんねとこの時から見る目がかわった

posted at 2014.11.27.21:50:11

普通に踊る事を普通にこなしていた。彼は誰よりもプロだった。ジャニーズJr.の仕事を理解していた。そんな事になんで今まで気付いてあげられなかったんだろう。彼は本物だった。その後彼は平野紫耀くんと永瀬廉くんと出会ってユニットを組みMr.KINGとして活動している。私は髙橋海人くんの掲載された雑誌をチェックしないので彼の心情はわからないがきっと彼の世への出方は苦しかったんじゃないかと思う。しかし今は彼の事をゴリ推しなんていう人は1人もいないはずだ。
たまにもう何も怖いものなんてないとキリストのような目をするのが彼の歩んできた道を物語っているのだろうか。
推されは正義だ


浮所くんもムチに打たれ血まみれになりながらまたゴルゴタの丘へ向かう推されの重い十字架を背負い始めてしまったのだろうかと暗い気持ちになったがきっとそうではない。
無垢な目の奥にはきちんと近い未来が映っているはずだ。

東京B少年実力ないのに推されすぎ、ダンスのリズムが遅れがち、やっぱり平野紫耀に似てなんかいないとか似てるとかもう何もかもどうでもよかった。彼を生き辛くするは全てのものをダイソンで吸い込んでやりたい。

きっとその度に私は彼をまた好きになるだろう。

そんな事しか思えずに舞台を見ていた。

ジャニーズオールスターズアイランドを観終わった私は何とも言えない辛い気持ちになっていた。

開演の時間から私の腕時計が止まっていた事に気付いた。


『楽しかったね〜』公演終了後横を通りすぎた女子達は笑顔で満足気にクリスマスに浮かれた有楽町の街へ消えていった。
彼女達と私は全く別の舞台を見ていたのではないか?もしかして彼女達は『君の名は』でも見てきたのではないか?そんな気持ちになり怖くなった。

もやもやの理由を突き詰めて行くのは億劫だったが意外にもすぐにその理由にもたどり着いた。

私は浮所くんの成長や変化=消耗と捉えていたのだ。

私はあの夏にEXシアターのすみっこで見つけた浮所くんの事を4辺が角ばった新品の消しゴムか何かと錯覚していたのであろう。まっさらで本当に綺麗だと思った。
その角は消耗されどんどん丸くなっていくようで明日にはまるで知らない姿になってくようで恐怖だった。

誰の手によって角は丸くなりいつどれだけ変化したのか私は見逃しているのだ。それは絶望だった。すくってもすくっても手の間から溢れ落ちる1シーン1シーンを針と糸で必死に繋ぎ合わせて私は全部知っているような顔をしていた。私は何も知らなかった。

私にとって世界は”浮所くんとその他”という2つの意味でのみ成り立っていた。その他は私にとっての絶望で浮所くんは希望だった。


突然のキモオタガンギマリの襲来にツイッターにこの舞台の感想の一言を言う事も出来ず東京駅へのイルミネーションの中をとぼとぼと下を向き歩き家路を急いだ。


家に着くと家で飼っている熱帯魚に彼の輪郭がそっくりだと気付いた。


気付くと左腕の時計は動き出していた。


月島紗南


※1綾野剛さんが所属する芸能事務所
※2新約聖書イエス・キリストが十字架に磔にされた丘
※3浮所飛貴くんの所属ユニット名、推されている。

ジャニーズオールスターズアイランド

ジャニーズオールスターズアイランドの1シーンで平野紫耀くん

『僕だって強くないんだ!』

と胸の内を晒すシーンがある。

『両親が小さい頃離婚した。母さんは夜遅くまで働いてくれた。母さんだけが僕の望みだった。東京に来る時その母さんに脳の病が見つかった。僕は手術の日も舞台で踊っていた。一緒にいてあげる事すら出来なかった。でも母さんを安心させるために僕は舞台に立ち続ける』(※ニュアンスです)

このシーンを初めて帝国劇場で見る前にノンフィクションの事実だと知った。

彼から発せられるその言葉は抽象的ではなく文言、時系列ともにやけに具体的だった。

どう受け止めればいいのかいまだ分からない。

しかし今だからはっきりしている事がある。

私は『現実がしんどくて辛くて考えたくなくてそこから逃げる為に夢を見せてくれるアイドルにお金を使う女』しかもきっと日本代表である。

いつでも弱い所を見せない可愛くて平和なぽけーとしていてなんかころころしてて可愛い。みんなに好かれていて野生児で怒らない。実は野心家でまずは関西ジャニーズJr.で認められればみんなの目に留まると思ったと嗅覚の良さと天性のセンスと才能。横断歩道で側転している姿を目撃されるアバンギャルドさ。2匹の猫にねねちゃんはなちゃんと名付け、加藤ミリヤのlalalaに思いを重ねながら猫を思う拗らせ女子な所。
少なくても私は平野紫耀くんにこういう偶像を抱いていたし、抱いていたかったし、憧れだった。好きだった。

ジャニーズJr.の中で生まれ変われるなら間違いなく平野紫耀になりたい。

気が付いたら彼が愛用しているクロムハーツのピンクの石が付いたネックレスが欲しくなってしまっていた。(そんな簡単に買える値段じゃなかったしクレアーズに売ってないかな)
雑誌を見ながらこのぷっくりとした涙袋になる為にはヒアルロン酸を何cc注入すれば私もいけるのかなどと彼の目の下のブラックホールに思いを巡らせていた。

コンサートで見てもいつも期待を裏切らない頭の良さと身の振り方のうまさ。私はどこか平野紫耀という人物に安心していたしスカッとしていた。
何を錯覚したのかその安定さはまるで私の思い通りに可愛さや強さ、希望を表現してくれる愛おしいペットみたいだった。

ところがこの告白は底知れぬ意思を持って動き出したようで演出だとわかっていても怖かった。
事実から目を背ける事は許されないことだろうか?自分勝手に理想を描き偶像を愛でる事は悪だろうか。
事実全てをさらけ出していた彼は違うその偶像は間違っている僕はそんな奴じゃないと私が勝手に作り上げたアイドル像を奪っていくようだった。

私は何をしているんだろう。何を見に来ているんだろう。息も出来ないような告白の時間に今すぐ外に出て日比谷公園の水分を含んだ濃い空気が吸いたくなった。

けれど私はこれからも平野紫耀さんの事を自分勝手に想像し繰り返しつぶやき心を軽くするだろう。

◾︎

それから...
佐藤勝利さんが父の死を告白するシーン。

事実だという事を知ったのは初観劇の前のメディアでの報道だった。観劇する前から身構えてしまう程だった。

そこまで身を削る必要はあるの...もちろんそう思っていた。

『もういないんだよ...父さん..』

彼は73回父の死を帝国劇場の舞台で告白する事で救われるのだろうか。変わるのだろうか。その彼にしか出来得ない姿をお父様は天国で見ていてくれるのだろうか。
何時間何日考えてもそんなのわかりっこなかった。そこに残るのは彼のお父様は亡くなってアイドルの彼は帝国劇場の舞台で父の死というこの世の悲しみの果てを毎日さらけ出している。彼をアイドルとして手解きしたジャニー喜多川社長の演出によって。という事実だけだ。それだけだ。
きっと私には何もわからない。人の死というものを自分の中で解釈しようと言葉にしようとする事は間違いなのだと思う。言葉にすれば真っ暗な闇の中に放り出されてしまうようだった。

アイドル佐藤勝利の熱っぽい台詞や潤んだ目。その目の奥にいた20歳の普通の男の子の悲しみの果てを私は忘れない。

同じ舞台上には彼を慰める役として岸優太くんがいた。不本意ではあるが私は73回のこのシーンに親友である岸優太くんが居ることが拠り所になっていた。勝利さんが落とした嘆き、悲しみを同じ舞台上にいる岸くんがひとつひとつ丁寧に心で拾ってくれていると思う事が出来たからだと思う。この優勝が私が見るこれからも今までも1番哀しい2人であってほしいと願うしかなかった。それだけしか出来なかった。

映画『ボーイソプラノ』を自担と重ねてしまった話

ボーイソプラノ』という映画を見た。
結果からいうとこの映画を見た事でジャニーズJr.浮所飛貴への思いを確固たる物にしてしまった上に私が彼に憧れる理由が詰まっていた。


私は映画が好きだ。
コンビニ感覚でTSUTAYAに行く上に見終わると満足し借りた事を忘れ延滞を繰り返す女なのでTSUTAYAにとってはとても良客なのだろう。(延滞料8000円とか行くのでコンサート一回入れるやつ馬鹿)

映画はストレス解消になりやり場のない、言葉にできない思いを溶かしてくれる。
少年収で0.1秒に賭けて戦う自担を見た後、登り詰めたやり場のない思いは『仁義なき戦い』に向けられ、故菅原文太のいる天国とともに思いは成仏した。

私は”中学生を応援することが恥ずかしい”と勘違いしていた時期があった。その思いは知らず知らずの内に『百円の恋』を見て綿あめみたいになくなった。(まじで見てほしい)



本題に戻してボーイソプラノのあらすじを話そう。(ネタバレ有り)
準新作のシールが貼ってあったので割と最近の映画なのだろう。

■場所はアメリカ
■隠し子としてアルコール依存症の母の元恵まれない環境で育った12歳の少年ステット(めっちゃ歌がうまい)
■問題児で学校で問題ばかり起こす(ありがち)
■ある時母が亡くなり、父の元に強制送還される。父は別の家庭がある為に面倒でステットが歌がうまいのをいい事に全寮制の合唱団(ウィーン少年合唱団みたいなやつ)に入れさせる(クズ)
■全米一の少年合唱団だけにもちろん何年ものキャリアやエリートの子ばかりで少年合唱団=ジャニーズJr.かよ状態。
■さらにステットは音楽の経験があるわけでも楽譜も読めない(致命的)初心者。

ん?えっ...そう

ステット=浮所くん
だった。そうでしかなかった。

■浮所くん(ステット)の位置は合唱団の後列。(まじでジャニーズjr.でしかない)
■浮所くん(ステット)には才能があったが楽譜が読めなかった。
■浮所くん(ステット)は楽譜を読めるようになるよう猛勉強した。寮の先生や学生は年末年始は家族の元に帰省しだれもいなくなった寮で浮所くんは歌の特訓をする。
■浮所くんを熱血指導する合唱団の教員のおじさんもとても熱心なんだけどなんかもう後半ジャニーさんにしか見えない。
挙句の果て浮所くん(ステット)が辞めるなら俺も辞めるとか言い出して草。


だめだ....これ...あかんもう浮所くんにしか見えない無理っていうか浮所くんにこの映画を見てほしい

浮所くん(ステット)の位置はやがて後列から前列、前列からセンターに変わっていく。
(それをひがんで楽譜隠す合唱団員とかも割とリアルでつらいけどうんこの話はまぁいいや)



映画のタイトルからしてお察しの方もいると思われるがそうボーイソプラノ”は声変わりがしたら試合終了。お役御免。さようなら。

これがつらい。

『だったら何のためにこんなにきつい練習をしたんだ?』

浮所くんが声変わり後に放つセリフだ。


これが痛いほどJr.担の私にはわかる気がした。
Jr.の努力は報われない事ばかりだし形にも映像にも残らないかもしれないけどその透明さが言葉にならないくらい美しいし憧れる。形にもならない、映像にも記事にもならないその一瞬を私は絶対に離さない。



映画『ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声』公式サイト

月島紗南

担降りしました

お久しぶりのブログです。
不躾かつわたくし事ですがこの度、

『浮所 飛貴』くんに担降りしました。



浮所くんを初めて見た時(7/21かな)から好感を持ちました。パッと目を引く華がある。何よりお顔が可愛い。上品。まだ芋っぽいけど都会っぽい。彼がもし果物なら千疋屋で木箱に入れられて大切に売られているだろう。そして彼はいつでも笑っていた。この文面だけ見るとアイドルなんだからニコニコしてて当たり前だろ?という感じなのだが、彼はまるで富士山麓の天然水で作った微炭酸の清涼飲料水のようで爽やかさと清らかさは様々な愚念を溶かしてくれるようだった。
大げさかもしれないけどコロンブスがアメリカ大陸を初めて発見した時も人類が月に一歩を踏み入れた時もこんな気持ちだったのだろうか...
見た事のない真っ白さに憧れてしまう気持ちは憎くもあった。

私は彼のその笑顔になんとなくだけど救われたし、ちょっと信じたいなと思った。同時に浮所くんを見ると心が痛んだ。何故だろう。

嫌だなぁ、六本木の夏はいつも私をおかしくする




お察しかもしれませんが1年前の夏(Mr.King vs Mr.Prince活動期)の燃え尽き症候群を経てもうこれ以上ってないんじゃないかなっていう私の中のエベレスト山頂に成功してしまったがためにしばらくジャニオタ鬱期が続いてました。

フェードアウトしていく現実を目の当たりにした。神宮寺が夏の終わりに言った『またすぐ会えるから』

6人には会えなかった

これから何をしようか
何も思いつかなかった。
誰を恨む訳でもなく猛烈に嘆きたかった。

私は現場で使うはずだった資金を腹いせのように引越し資金に充てたり到底必要のない大きさのTVを購入したりし気を紛らわせた。私にとっては大きすぎる50インチのテレビで東京ドームでサマステを歌う6人を再び見た。家の外にできるだけ出たくないインドアでコミュ障な私をエベレストに登頂させるだけの魅力と輝きと若さと可愛いさと実力とこの地球上にある全ての宝石の光を凝縮したような眩しさだった。いやもう会えないと分かってしまったからいっそう輝いてみえるだけのかもしれない。ブルーレイのデスク1枚分に収まってしまった夏は愛おしさと思った通りにならない無力さに溢れていて猫のようにどっかへ消えてしまった。けれど明日の朝になったらまた何食わぬ顔で『ニャ』と短く鳴いてモンプチをねだりに戻ってきそうだった。


ジャニオタ活動は自分を主語にするか自担を主語にするかで意味が反転してしまうとこの時思い知った。
私は自分を主語にし過ぎていたのだ。
どんな境遇でもしなやかに現実を受け入れ実力を付け誰からも好かれ誰をも幸せにして前に進んでる彼がいるのに括りの呪縛が解けずにウダウダ狭い世界で文句ばかり言っている私は実に愚かだったんだと思う。



ブラックホールに吸い寄せられるようまた今年の夏も六本木にいた。ほんとうに困ったババアだ。


7/21
初めてみる浮所くんはヘラヘラしてるなぁ...としぬほど可愛いけど入所したばかりみたいだし突然推されて”何も考えてなさそうだなぁ”と勝手に決めつけてました。7月なのにまだ肌寒い六本木は相変わらず煌びやかだけど内に熱さを隠していて何か起こる気がした。いや何か起きてほしいと願った。言葉に出来ないなんかわくわくするやつが食べたい。




8/10


なんか大きくなってた(気がした)


何かとお名前を出してもらえる...すごい...持ってる




8/19
10日ぶりに見る彼はバク転が出来るようになっていました。

初めて会得したバク転をどれだけの人が見たのだろう。浮所くんのバク転初披露はもしかしたら盛大ではなかったのかもしれない。だけど入所したてだけれど14歳なりに考え、忙殺の中練習し、披露したのかと思うと胸が詰まった。何も考えずにヘラヘラステージに立っている訳じゃない。ちゃんと戦ってるんだ。後日談だが雑誌に”トランポリンで練習してたらバク転出来るようになったよ☆”みたいに割とライトな感じで語っていて笑った。努力を楽しめる所も怖いもの知らずな所もなんだか紫耀くんに似ているなと思った。


過剰なファンサはしないそんなJr.もいると思う。浮所くんはある程度誰にでも物凄いする。ほんっとヤバイくらいに。

ダンスもローラーもみんなよりまだまだできない、じゃあ今自分に出来る事って何?って彼なりに考えた結果なんだと思う。正直今までもらったどんなファンサービスよりも心を貰った。それ自体が嬉しいというよりこの子は論理的な考えをする子なんだなって何となく感じれたのが嬉しかった。

夏の始まりの自問自答に今なら答えられる気がした。

多幸感極まるとやたら空の写真撮りたがるババア




8/24
久しぶりに美容院に行けたのだろう。短く切り揃えられた髪は年相応さを増していた。もう彼は完全にスーパーアイドルだった。いやきっと違う、私がアイドルとして見はじめたんだ

脳の奥でどきどきわくわくの伝達物質がドバドバ流れている音がするようで頭が熱かった。

ダンスが上手くてカッコいいお兄さん達に褒められて嬉しくなっている私は恋に落ちていたんだと思う。




いやまて、これは一時の感情かもしれない自担が14歳?やばくね?!前科1犯じゃね...
20歳の自担でも割と社会から逸脱してる感あったのにさすがにそんなはずはないと踏み留まりました。しかしそれは逆効果でした。寄せる波よりも引く波は強く足元がぐらついて立ってられない。でも引っ張られる事が心地よくて誘惑と罪悪感が寄せては引いていく...懐かしい感情だった。今20歳になった誰にでも好かれる彼を1番に応援したいと思った時とあの同じ感情でした。懐かしいと思えると自覚した私はきっと担降りというものをしたのであろう。

一時の感情かもしれない?関係ない。



浮所飛貴くんが私にとって最高のスーパーアイドルになると確信したから。

月島 紗南

少年たち 日生劇場

日生劇場の真っ赤なじゅうたんが銃弾に倒れた彼の血の海に見えてきて私は卒倒しそうになった

(ふだんあえて大切なことを考えないようにする癖がついているせいか少年たちの話の本題かつ主題については永遠に上手く話せる気がしないし、いくら考えても私が期待するところとは別の箱の中にあるのでここではあえて割愛する)


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私が伝えたいし一生忘れたくない景色、
松村北斗日生劇場の床でターンするときにふいに聞こえるキュッキュッっていう音、三半規管を緩やかに震わせるようないつまでも耳に残る足音。
雨に濡れた犬を抱き上げた時のようなくうっと上がった口角、夜の湖に反射した月明かりのような照明に強く照らされ憂いを帯びた真っ黒な瞳。その瞳からこぼれ落ちたいかにも熱を持っていそうな熱いキラキラのしずくたちは永遠に手に出来ない夜景のようだった。

日生劇場にはいるとむわっと漂うあの匂い、裏通りの古びた骨董品屋さんのようだ。人々が積み重ねてきた念が回遊するかのようなあの螺旋階段。一瞬の中に詰め込まれた空気はただただ私にとって松村北斗の新世界の1時間目授業のようだった。そこに存在するすべてを確認し頭に焼き付けよう、忘れまいと必死だった。拾いあげ綺麗なお気に入りの箱の中に入れて鍵をかけたかった。

劇中の中盤に歌われるSixTONESのオリジナル曲”この星のHIKARI”という曲がある。
この曲はほっくんが真ん中で歌い、踊っているわけではないがそういうしょうもない嫉妬や悲壮感はここにはない。舞台上で踊り歌っている姿を見ていると心の奥から透き通った炭酸水が湧いてきて彼らや私たちを取り巻くいざこざや悲しみや汚れが洗われ流れていくような心地よさだった。SixTONESっていう存在を心の隅から隅まで画鋲でピシッと貼られていく音が聞こえるくらいに妙に説得力がある曲だった。

舞台にしては短い公演が終わり外にでると、あの独特な空気に満たされていた。あのお堀の水分と日比谷公園の緑と人が作ったビルやコンクリートが混ざり合う濃い空気だ。
この街はいつだって遭難できる。危うく命を落としそうになりそうな不思議な高揚感がある。

夜景のように届かなく遠くに繰り広げられる彼らと遭難しそうな日比谷の空気の危うさとがぴったりハマっていて素敵な夜だった。

ガムシャラサマーステーション 夏の終着駅

狂おしいほど暑くて言葉に出来ないくらいキラキラな誰も見たことのないような六本木の夏が終わりました。

私が積極的に応援する岸優太くんはこの夏、六本木ヒルズ夏祭りサマーステーションの応援サポーターとして...チーム武として...ジャニーズJr.のバックダンサーとして...大忙しでした。それはきっと大忙しっ!とかいう可愛いもんではなく『死因:六本木』 くらいの殺人的なものであっただろうと勝手に推測する。けどきしくんはどんなに忙しくても夏の六本木のネオンの明るさにすら負けてなかった。掴もうとする程に消えていくまばゆく儚いキラキラは最後の一瞬まで消える事はなかった。

彼らが放った星のかけらを集める事しかできないけれど、今やらないと煌きは消えてゆくと思い自分なりにまとめてみたいと思います。(※岸優太くんと松村北斗くんを中心に見ていたので偏った捉え方になっているかもしれません)

◾︎チーム武(いわちー武)

 ”フリースタイルダンス”

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岩橋くん率いるチーム武はパフォーマンスバトルを制し優勝しました。

きしくんは練習中、スラムダンクで山王戦に挑む桜木花道の名言『優勝すんだろ?(31巻より)』と鬼気迫る表情で放っていましたが、本当に優勝してしまいました。(きしくんが世代的にスラムダンクを読んでいたとは思えない...)

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スラムダンク大好き芸人の私はこの男もしかして桜木花道の生まれ変わりなのではとチーム武(去年は最下位)の救世主に期待をしました。

意外だったのはテレ朝はきしくんにとってのこの夏のメインイベントになるに違いないと思っていたバク転をあっさりとパフォーマンスバトル前に放送しました。


⚫︎7/24 VS公演 チーム武初日 1部

きしくんはバク転はもちろん、バク宙を披露しました。私は息を飲みました。きしくんの目は本当にうさぎの皮を被った猛獣のようでした。SHOCKの時のジャパネスクの表情のようなそれともまた少し違ったようなとにかく見た事がない表情。

チーム武は最高の滑り出しでした。連勝を重ね向かうところ敵なしとはこの事でした。

この男はジャニーズ向いているわ

きしくんを壮大すぎてあえてそんな簡潔な一言ですませたくなるくらいに彼は元気でした(本当は色々あるのかもしれないけど私の目には元気に映ったから超プロ)

桜木花道の名言(スラムダンク名言しかない...)『俺は今なんだよ!』を思いだした。

岸優太は今なんだよ!

そしてチーム武は決勝に進出しました


チーム武はもしかするのずーっと一緒にいるような超仲良しのチームではないように思う。
けれどもそれぞれが役割を把握して完成されたチームだった。技術で引っ張るれんくん、颯くん、りんねちゃんは歳上2人をいつも立ててくれ、教えてくれた。チーム武の勝因はそんな3人の力が大きいと思う。後半戦ピリついた空気の中、颯くんの『明るくいきましょう〜!!』は最高だったし、りんねちゃんの『今だけはりんねの事見てくださぁぁ〜い!』は今だけという謙虚さと”一人称りんね”の特異な普遍さとアクロバットの軽やかさのギャップに誰もがりんねちゃんの虜になり会場がひとつになった。決勝の大技はれんくん頼みな所が多かった。けれど小さな彼はチームの要となり大技を必ず決めてくれたし何より可愛かった。大きいお兄ちゃん(主に樹/慎太郎/北斗)にうざ絡みされる蓮音くんいつか身長越して見下してやれ笑
きしくんは一見”なんとかなるべ”根性論に任せてると思いきや、努力を怠らないだからといって変な気負いを本番では一切見せない 短い間でこんなに成長するんだってこの夏ハムスターでも育ててる気分にさせてくれました。
そしてリーダー岩橋くん、やっぱりチーム武はこの人です。決勝に進めなかったチーム覇者の分も武が頑張ると言った彼は色んな意味で強かったです。彼はいつも賛否両論のど真ん中を駆け抜ける人生だなぁと思います。優勝は去年最下位からのシンデレラストーリーでもあった、いわちのシンデレラは才能であり武器だった。彼の決して曲がる事のない芯にしがみついていればどんな高みにでもいける気がした。
可愛くて媚びない強い女みたいなチームだった。おめでとう。

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醒めない夢をありがとう



◾︎チーム羅 ”ダブルダッチ

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この夏、もう1チーム目が離せなくなるようなチームがいた。”チーム羅”
初めてこのチームを見た時ヤバイと思った。もうよくわかんないけどなんかヤバイ。一生この人とは話す事すらないと思っていたクラスメイトとくじの班分けで修学旅行同じ班になってしまった!どうしよう!しかもブラジルからの陽気な留学生もいる!と...
7/27初めて羅のパフォーマンスを見た時、申し訳ないが半分も完成していないように思えた。
ダブルダッチの事はよく分からないが縄が回せるのがほっくんと慎太郎しかいないのかもしれない。カウれあタブルスはカットなのか入れなかったのか...そもそももう少し技の難度を下げる事は出来ないのか...こんな事を感じた。失礼に値するかもしれないが(おい!しっかりしてくれよおおお!)と野球場だったら野次ってたと思う。
しかしリーダーの松村北斗くんはどうって事ないって顔をして澄んだ瞳をしていた。

ああダントツ最下位でも連敗しても諦めてなんていないんだな今出来る事をやるだけなんだなと少し先を見据えた彼らがいました。

8/7

後半羅の公演を見に行った時見違えるパフォーマンスを披露した羅の5人がいました。技の難度下げたほうがいいなんて一瞬でも思った自分が恥ずかしくなるくらいに楽しそうな5人でした。1度底みて振り切って這い上がる姿はまさにあの人の生き様のようで私は放っておく事が出来なかった。あの日”ああ素敵だなこの人”って初めて感じた時の事を思いだしていました。

8/14

わたしは行く事が出来なかったけれど我羅ともにノーミスのパフォーマンスでみんな大号泣だったと聞いて、さぞかし素敵なパフォーマンスだったんだろうと想像したら込み上げてくるものがあった。いつもおすましな女優ほっくんの泣き顔見たかったな!!

見事決勝進出。優勝は出来なかったけれど0から100へと持っていき方、決して諦めなかったチームとしての一体感は夏の魔法みたいだったし、クラスで一言も喋った事のないようなチームにはいつの間にか素敵な絆が生まれていました。(れあたん女子マネ力MAX輪ゴムミサンガには参りました)

ここまで導いたリーダーほっくんには信頼しかなかったです。ほっくんの元で今気持ち切れてたやついた!💢って言われながら働きたい!笑 

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チーム羅ありがとう


我武者羅覇のメンバー25人、聡くん、マリちゃん、さなじいこと真田くん、バックのジャニーズJr(中村浩大くんおばさんはあなたをいつも見てましたよ!)、EXシアターのスタッフさん(いや本当にまじでおつかれさまです)、オタクという同士達(会ってくれた方本当に嬉しかったです)、私を六本木まで運んでくれた大江戸線(代々木で乗り換えた方が便利でお馴染み)、よく行った六本木の謎の居酒屋(冷やしトマトとアボカドとコーラしか頼まない積めないカス客でごめん)、すべてに感謝したいです。ありがとう。
ほっくん最後まで美しかった。
そしてきしくん金メダルです。もちろん私の最優秀殊勲選手です。

いつまでもいつまでも2015年夏を忘れない!!


月島紗南



Mr.King vs Mr.Prince


六本木の熱気が生んだ蜃気楼みたいだった
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7/6月曜日早朝4時
大雨の河口湖にいた 
体感温度は10℃くらいだろうか
7月の湖畔で私は寒さで震えている

本当に去年のようなあの熱い夏が来るのだろうか

雨音は増し東野圭吾の小説、レイクサイドに思いを馳せながら今にも猟奇的殺人事件でもおきそうな河口湖の湖面に容赦なく強く打ち付ける雨粒にあの人を思い出す...
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私の心配をよそに梅雨は開けた
2015年東京の夏は当然の如くぽかーんと口を開けてよだれを垂らしながらやってきた 
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ころころと変わりやすい天気はきしくんがころんころんとバク転を習得をしたせいだろうと都合よく解釈する

むしろ梅雨明けなんて気象庁のおっさんあたりが梅雨開けさせとく?いんじゃね?みたいなノリで決めてるのかもと想像すると私はどの場面でも所詮消費者のゴミクズにしか過ぎないんだと思い知らされる 

夏の始まりのねっとりとした湿気がゴミクズジャニオタな私をこの世から隔離したいかのように纏わりつく 何故だか湿気というベールを纏い風に吹かれているとちょっとだけ強くなれる気がした。



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一生彼は私の事なんて知る日はこない 喋る日もこないだろう 一緒にご飯を食べることもなければ 名前を呼ばれる事もない
それでも雑誌を買い、ジャニーズショップで写真を買い、ファンレターを出し、少年倶楽部にきしゆうたくんをたくさん見たいですと私では考えられないほど律儀にメールを送り、激戦のチケットをどうにかし手にしコンサートに足を運びミジンコのような大きさの彼を双眼鏡で覗くというある意味この世の中のコミュニケーションの中で1番意味がないともいえる方法で彼を応援している

意味のない消費は経済の一渦となり私を嘲笑う

やがて愛情の標的は形を変え、彼が写っている写真を片っ端から購入しジャニーズショップの黄色い袋をトートバックに隠し家路に急ぐ。彼の出演する公演のチケットを気が狂ったように増やしああ今日もまた散財してしまったと自己嫌悪になればなるほどツイッターできしくんの可愛さや天才さをつぶやく回数は増える。私は間違ってなんかないだってほらこんなにみんな同意してくれてるじゃないか
なんて惨めで惨めで惨めなんだろう。小説やドラマの世界なんかよりスリルのある最高の趣味じゃないか 歪んだ幼稚な愛情表現はスパイスとすらなってしまう 心地いいよ。離れなくないよきしくん、少しだけそばにいさせてよ。


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私が1番好きなアイドルジャニーズJr.の岸優太くんは”Mr.King vs Mr.Princeというジャニー喜多川氏が15秒で考えたという何とも嘘くさいエピソードを携えトンチキユニット名を背負う一員、且つテレ朝夏祭りサマーステーションの公式サポーターとして連日TVに出まくっていた。


正直六本木のど真ん中に自担の特大タペストリーを掲げられても六本木駅に60枚のキンプリポスター攻撃されても、年に1回、球界選りすぐりのスター選手のみが出場する伝統のオールスターでの試合前のパフォーマンスを見てもいまいちピンと来ない私がいた。
きっと明日不慮の事故で死んだとしても死んだ事に気付かないで生き霊になるくらいに現実を受け入れるブレーカーが完全に落ちてしまっているようだ

Mr.King vs Mr.Princeを上手く言葉にできないままただ夏が過ぎていく。私の向こうにはテレビ朝日にでかでかと掲げられた自担が微笑んでいた
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毛利庭園から見る巨大広告
きしくんが籠城に人質にとられた姫に見えてきてしまった私はあまりにひねくれていた  きっとキンプリは六本木の猛暑が作り出した蜃気楼のひと夏の幻なんだろうか。


TVにいっぱい出てるとか出てないとかポスターの数とか広告の大きさともう正直どうでもよかった きっと本質はそこではない

彼はきっとしなやかに時に涙を流しながら時には喜びながら不条理な現実を受けいれてここまできたのだろうか  彼がその辿った道に、その表情に、彼の仲間に、喜び泣き笑い私は自分でいられた。

だから胡散くさいユニット名も不条理な現実も受け入れたい。

懐古したっていいと思う。だってそれは今のきしくんの血と骨だから。でもまずは今の彼の空気に触れている汗ばんだ肌を2015年の夏の彼を最初に見てあげたい、見たいと思えるようになった。

今日まで辿ってきた道に首を縦にし過去と現在を讃え正しいと世界の片隅からほんの少しだけ叫びたい。


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7/21
EXシアター六本木に向かう
この日も7/18から始まった六本木ヒルズ夏祭りガムシャラサマーステーションの特別公演(Mr.King vs Mr.Prince)の公演が行われる。
パフォーマンスバトルのVS公演を含めれば1ヶ月の間に約70公演連日行われる事になる。
頭に安い造花を付け自担の名前が入ったハートのサングラスをかけたブラックダイヤのようなドギツイ目をしたジャニオタが夏の間中気取った六本木の景観を壊すに違いないと思うとなぜだか遠足の前日のようなワクワクが止まらなくてテンションがブチ上がる。

午前10:50
負けた。
ペンライト争奪戦という戦いに負けた。私はテレビ朝日一階アトリウムに立ち尽くしていた。
ペンライトは完売だという。諦めきらない私は必死に相棒テラス内を捜索してみるがペンライトはあるわけはなかった右京さんサンキュー。
11時から公演が始まるがはたして間に合うのだろうか。
少し慌てて来た道を戻ろうとするもアトリウム内の一方通行が私を拒む 私のきしくんへの一方通行の間違った愛情表現みたいだった。

六本木ヒルズは迷宮だった。幾度も来ているはずなのにいつも思った方向に出れない。
さすが優太姫を籠城している要塞だ。抜かりない。

10時54分
ようやくヒミツアイテムエレベーターを発見し要塞を抜け出した私は66プラザのドラちゃん達におはようございますのご挨拶をしながら小走りで駆け抜ける。 ドラちゃん達は私を決して馬鹿にしなかった。ありがとう優太のもとに行ってくるよと心の中で最敬礼をする。
うだるような日差しにすっかりホットドリンクになったポカリスエットを口にし生きてるわぁと小声で呟きお気に入りのダッフィさんのタオルで汗を拭きながらポカリの新CMを気取ってみる。

10時57分
焦りつつも電光掲示板を撮ろうとするが撮った瞬間にイカれる掲示板 連日の仕事でのハードワークとペンラ難民と災難続きで電光掲示板にも嫌われメンタルはボロボロだった。
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バルコニーという何とも優雅な響きの席におそらく招かざる客の汗まみれの薄汚れた私は席に着く。

ー開演

彼ら6人が登るにはあまりに低く小さく感じるEXシアターのステージがそこにはあった。
バルコニーは王様と王子が民衆を見下すにはピッタリであった 。
優太はディズニー映画の王子さまのような顔をしていた。

私は何故きしくんの事をこんなに好きなのかいつも上手く表現できない。好きな所は星の数だけあるはずなのに

短く切りそろえた髪に、桃のような可愛いらしい顔立ち、その柔らかく繊細な桃を自ら外敵から守るように付いたほどよい筋肉。優太という名前。優しい男の子はたくさんの民衆から歓声を受けメンバーからはいつものようにいじられ誰からも愛されていた。

少しわかった、私はきっときしくんになりたいんだ。

6人は銀河系を何億光年も前から優雅に漂う惑星たちみたいだと思った。EXシアターが窮屈すぎて今にも宇宙に飛び出しそうな惑星達。
月 火星 水星 木星 金星 土星....
おのおのの距離を保ちながら決して交わらない 唯一太陽の周りを回らない月は岩橋玄樹みたいだと思った。
岩橋と平野がステージ上で絡むと銀河系のルールを破ったようないけない凄いパワーが働いて今にもビックバンが起きそうだった。
私がもしiPhoneだったら強制終了を繰り返し今頃Appleストアで修理されていたと思う。人間で本当によかった。

ジャニーさんがKingとPrinceの間に&ではなくvsを付けたのがこの公演を観て少しだけ分かった気がした。vsがいてくれるおかげで絶妙なバランスを保っていた。

バルコニーから民衆、時に壁に、時に空気にファンサを繰り返すきしくんは、一通りファンサを終えると満足したのか、私の事など当然目にもくれず、ご飯をもらった後の子猫のようにプイっとどっかに行ってしまった

子猫を追いかけるかのように私は8月のチケットを握りしめていた。



月島紗南