ひみつのコウカン♡ダイアリー

強くて可愛い男の子

シアタークリエに東京B少年を見に行ってきたよ


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(こっちにくる...まってまってまってこないでこないでやだやだ.....えっ可愛い...お願い...いまだけ...いや30秒だけでいい私の顔を本田つばさの顔にさせて...!いや本田つばさの顔の仮面作ってくればよかった!うちわはダメだけど仮面はダメだって書いてなかった気が...あああなんで整形してこなかったんだろう...いま整形しよう!??いやむしろミジンコになりたい...ミジンコって名義作れなくない?それはダメだしミジンコ逆に目立ちすぎる...どうしよう...)


いくらなんでも東京ドームからのシアタークリエは刺激が強かった。8LDKの家から犬小屋に引っ越したくらいの心の負担だった。接近戦に弱いおたくはトチ狂っていた。

かつての中で1番物理的近距離で見る私の担当
『浮所飛貴くん』
は想像以上にわたあめみたいに軽やかでふわふわしていた。その姿はまるでLINEのスタンプのようなポップでキャッチーなマスコットキャラクターのようだったしこのスタンプを100連打しても大抵の人になら許されるほどの愛嬌と軽やかさと憎めなさは才能だった。

同時に彼が目の前に現れると途端に周りの酸素濃度が明らかに濃くなったように感じた。

しかし気付くといつのまにか軽やかさは消えあの可愛らしいわたあめからは想像も付かない程にべたべたと意思を持って溶け出した。
それは手にまとわりつくように絡みつき時に私を困らせた。その危うさを含めて全てが美しかった。
私にとって美と映ったのは、何かをするときのかすかな表情の反応や動作、踊りはじめるときの鋭くなる眼光にまでびっしりと張り巡らされ統一されていた。それは少しも乱れる事なかった。今目の前にいるアイドルが私は本当に大好きだった。

私は浮所くんが作った”わたあめタウン”の住人であり、そのとろけた砂糖でできたベトベトした甘いみずうみの底で絡まって動けなくなっていた。

私の知る限りの浮所くんはいつだって人との距離の取り方が近すぎて不安を与えるほどだった。誰にでもにこにこしっぽを振る人慣れした犬のようであまりの無邪気さと健気さに呆れてしまうほどだったがそれが可愛くて可愛くて可愛くて仕方がなかった。

最近いつまのにか大人になるにつれそんな浮所くんは居なくなってしまうのではないかと怖くなってしまう事があった。考えてみれば浮所くんは犬なんかではなく人間なのだから当たり前なのかもしれない。


那須くんも目の前に来た。それは今まで感じた事のない不思議な威圧感だった。威圧感というと聞こえが悪いが、足にこれでもかと力を入れて踏ん張って立っていない限り吹き飛ばされそうな最大瞬間風速を伴ってこちらに向かって来るようだった。
気を抜いた瞬間にビックカメラ(有楽町店)あたりまで軽く飛ばされてしまうくらいに。
さらにうっかりしていると気付いたら彼の治める野菜の国の王国まで飛ばされてブロッコリーあたりの野菜として生活しているパターンだったが私が飛ばされたのは幸運か不運かビックカメラ(有楽町店)までで済んだようだった。

野菜の国の王子様は”あれ?なんでわたしは那須雄登くんのファンじゃなかったんだっけ?はて?”と思わせる程のスペシャル魔法つかいだった。

那須くんは必要以上に笑顔を振りまく事はなくクールな印象だった。しかしMCで「那須、健人くんに似てるよね」と言われるとフニャ〜ンと一気にお顔がとろけ出した。那須くんは「それは健人くんに失礼ですよ」と謙遜しながらも猫にマタタビをあげたかのように人懐こい笑顔をこちらに向け完全に気を許したかのようにお腹をで〜んと撫でてほしそうに向けながら(もっと健人くんに似てるって言ってニャ〜ン)に豹変した。那須くんへの健人くんはマタタビ

同じ15歳でもその佇まいから受ける印象はこれでもかというくらいに違った。しかし2人ともファンを懐柔させる天才である事は手にとってわかるようだった。

龍我くんはそれはもう笑っちゃうくらい両極端でわかりやすい2人のお兄ちゃんの背中を見ながら、”何も分からない”みたいな目をしていた。しかし雑誌で「グループの真ん中で踊れるようになりたい」と見かけによらずか野心家だった。そしていざ踊りだすと新たな人格が憑依したかのように目の中の焦点が変わり何もかも知っているような見据えた目に変わっていた。


失礼ながら浮所くんを見る事に必死で、藤井くんと大昇くんの事を今まで良くみる機会がなかった。
藤井くんの事を初めて知ったのは確か去年のジャニカジだったと思う。
彼はダンスがB少年の中でダントツに上手かった。ダンスの事がよく分からない私でも藤井くんがダンスが上手い事は分かった。藤井くんがいてくれる事で素人軍団X感の無さとフレッシュで可愛いグループという2つのバランスが絶妙にとれていた。
なーくんが藤井さんにスイッチするときの藤井さんの人格にとても闇を感じてしまって興味深々...

大昇くんは大我くんを見学に呼ぶほどのコミュ力ヤクザだった。ウザ可愛いというジャンルを大爆進で開拓していたしMCで
「去年みんなサマパラに急きょバックで呼ばれたのに『YOUはそこ(遊園地)で遊んできなよ』とジャニーさんに言われた」
というしんどすぎる逸話と爪痕と学ラン応援団のテンションを残していった。

そして金指くん。
Jr.Boysとしてバックで出る予定だったけど公演一週間前にじいにゃんのひとことで東京B少年の加入が決まったと後から知った。4/29初日ギリギリに新しく刷り直されたポスターの真ん中で彼は笑っていた。

4/30に見た金指くんはまるで産まれたての小鹿のようだった。ローラーでは転んじゃうし、マイクは落としちゃうし、マイクをハウリングさせちゃうし、去年の6月に入所したのが嘘のようで、いや?これはまだ入所してないのでは?エピソードゼロなのでは?”そのへん歩いていたショタを連れてきてジャニーズの真ん中で歌わせてみた”っていうYOUTUBEの動画の企画なのでは?くらいに完全に放り込まれていた。おじいちゃんはこの推し方が本当に好きだなと半ば呆れた。やたらと1人をシンデレラにさせたがる。カタルシスを背負わせたがる。

5/5
金指くんは変わっていた。この表現があってるのかは分からないが吹っ切れていた。
『僕はVampire』のセリフ部分を『僕は金指一世だ!』にアレンジしていた。この短い間で中学生の顔をそっくり捨ててジャニーズJr.の東京B少年の顔になっていた。恐ろしかった。

MCで宝物を言っていくコーナーがあったのだが、金指くんは『スターウォーズのポスター』が宝物だと言った。
(えっ意外...)
スターウォーズが好きな13歳に私はどんどん引き込まれた。
そして好きなキャラクターは『ダースベイダー』だと言った。
ダースベイダーは悪役だった。
しかしダースベイダーただの悪役ではないのだ。ダースベイダーは初めはアナキンという普通の少年だった。能力を見出され戦いに出て行きより強力な力を求めやがて悪の力を求めダースベイダーにならざるをえなかった悲劇の悪役だった。(死ぬほどざっくりなあらすじごめん)
私は金指くんとアナキンを知らず知らずの内に重ねてしまっていた。
はじまりはいつも突然で私は彼のこれからの物語を見たい気持ちでいっぱいになっていた。



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話は半年ほど前に遡る。「歌を頑張りたいです」「練習中なんですけど歌を特技にして頑張っていきたいです。」


浮所くんはジャニーズオールスターズアイランドあたりからやたらと歌を強調する発言をしていた。(局の動画#3とニューイヤーメッセージ)

その時は
(へぇ歌が好きなんだね!)
としか思っておらず気にも止めていなかった私は本当にスーパーのんきな女だったと今になって反省している。

「オリジナル曲がほしい」「ジャンプさんのキラキラ光れみたいなスピード感のある明るい曲がいいな」

浮所くんは目標も願望も提案もいつも具体的で強気だった。「頑張ります」だけではなくその内容やビジョンを雑誌でよく話していた。


そしてジャニーズJr.祭り浮所くんは歌のソロパートはなかった。そこで私はやっと浮所くんがやたらと「歌」に執念を燃やしていた理由に気付いた。
本当にス〜〜〜〜〜〜パ〜〜〜〜〜〜負けず嫌いな男だと思った。


(何で浮所くんはソロパート歌わせてもらえないの?もしかしてものすごく音痴なのでは...?つらい...それか逆にうますぎて事務所か持て余してるのでは?!)浮所くんの歌を議題にした”私の中緊急サミット”では何回も熱く議論が交わされた。やっぱりもちろんファンとして悔しかったけれど、その間にも歌を練習している浮所くんが透けて見えたから全力で自担という存在にもたれ掛かりながら”大丈夫っしょ!”どこかで安心している気持ちもあった。


そしてクリエA公演、中盤を迎えた頃だった。
よく遊びよく学べの後、
浮所くんはステージ中央の階段を勢いよくひとりで駆け上がっていった。

少年のままの歌い始めの事だった。

”答えなんて間違いだらけで構わないさ”

(高く高く高く舞い上がれ)
”Get chance one more chance 3・2・1 go!”


(...?!?!?!?!)


浮所くんの初のソロパートはスポットライトが当たり、誰よりも高い場所で歌っていた。

1秒聞いただけで大好きな歌声だとすぐにわかった。
自分の担当の歌声だからというのももちろんあるけど頑張って練習して辿り着いた成果だと思うと余計に愛おしくてもうそんなのだめだった。頑張って色眼鏡を外してみてもジャニーズJr.の中で1番好きな声だった。

『そんな!ソロパートくらいで大げさな落ち着いて!』と言われたら本当に(うん)としか言えない。

浮所くんの存在を初めて知ったとき浮所くんの事を私は本当に何も知らなかった。知らないけど好きになるのに明確な理由は必要なかったし、好きになって大丈夫!っていう説得力と面白くてわくわくしそうな予感がしたから好きになってみた。もっと言うと知る術がなかった。

それから日々を重ねジグソーパズルをひとつひとつ手に入れてピースが増えるたびに確信していった”好き”だった。
また1つ歌という大好きなピースが増えた事が単純に嬉しかった。

しかもこの曲は偶然にも私が1番クリエ聞きたかった曲でもあった。


感傷にふけっている間も無く聞いた事のあるイントロに殺された。
浮所くんがかつてこんな曲をやってみたいと話していたJUMPの”キラキラ光れ”だった。東京B少年のイメージと1ミリもズレる事がなくステージとお立ち台を駆け抜ける姿はまさに浮所くんが雑誌で話していたビジョンそのままだった。
キラキラもっと光れ
私(キラキラ光ってるよ!)
魔法にもっとかかれ
私(ヨッ魔法つかい!)

幸せな笑顔が咲く未来が来るよ
私(来てる!来てる!来てる!)

14.8歳の歌に心の中で本気で合いの手を入れているおばさんは冷静に考えて懲役と執行猶予が付きそうだった。

本人がリクエストしたのか大人が選曲したのか知らないしそんなことはあまり問題ではなかった。浮所くんの考える自分のユニットのイメージと曲が合致し活字通りに実現させている事、歌について無垢な熱心さを尊敬していた。青年実業家かよ。


そして4日ぶりに見る浮所くんは通路を誰よりも隅々まで駆け巡る男になっていた。
ダブルアンコールもほとんどのメンバーが降りて来なかった(多分みんなお立ち台が出てる事にすら気付いてないかも?)けれど浮所くんは迷いもなく、まるで電車からホームに降りるような雰囲気でステージから客席に降りてきた。そして曲目一杯までファンの近くまで来ていた。かつてSexyZoneの現場でつーこさんにアリーナぜったい降りちゃだめと言われたのに楽しくなって結局アリーナ降りしちゃった中島健人さんを彷彿とさせた。それは間違いなく私が好きなもう呆れちゃうくらい無邪気で健気な浮所くんだった。

ちょっとだけ、なんとなく、夏の暑さのせいかもしれないけど、彼を信じてみたくなった夏は秋と冬を越えてその答えをたくさんたくさん示してくれた春を迎えていた。



◾︎
クリエの外に出ると友人に「Mステに単独で東京B少年が出ますよ」と言われた。
「部活出ますよ」みたいなノリで言われたので驚くより先に(ああそうなんだ)とすんなりと受け入れてしまった。受け入れた後になって(おじいちゃんは私が思ってたよりもずっと本気なんだな)だなと気付くと同時に”Mステ単独出演”あまりの事実に驚愕した。

おじいちゃんはB少年をどうしたいんだろうと思ったが、大人をどうさせるか決めるのは6人次第だったしそれを考えてると自然と大丈夫だろうと安堵すら覚えていた。

おじいちゃんがおたくに見せたいものとお茶の間に見せびらかせたいものはなんとなく根本の種類が違うという事には気付いてきていた。まだ少し明るさの残る有楽町を歩きながら東京B少年はその後者なんだなぁと他人事のように考えていた。後者には重い十字架という尾ひれを背負わす癖がある事も気付いていた。

遡ること3日前、5/2の日刊スポーツの芸能面には私が好きなアイドルの名前と見覚えのある学校名の固有名詞が連なって載った。

この感情を良いか悪いかでは私にはまだ判断出来なかった。そもそもいちファンの端くれが判断する事ではなかった。

ただ本人がこの学校に入りたいという強い意志と努力がないと入れない、たとえ意志や努力があったとしても入る事は容易ではない学校だという事はかつて中学受験を経験した私はなんとなく分かっていた。だからこそこの固有名詞は彼にとって大切なものであるんだろうなと勝手に想像すると同時にできるならそうっとしておいてあげたいと思っていた。

紙面にその固有名詞が目に飛び込んできた途端、もうEXシアターのバルコニーでヘラヘラと手を振っている学校名も血液型も好きな食べ物も歌声もしらないただの少年だった彼は戻ってこない事だけはなんとなく察知していた。

固有名詞は覚悟を背負った象徴だったのを認識すると同時にギッと胃が痛くなり血液が引いていくのがわかった。

出来るならせめて8ヶ月弱の出来事を3年くらいかけて刻んでいきたかった。

そう思う私の気持ちがバカバカしくなるくらいに浮所くんたちはさもそれが当たり前かのように信じられないスピードで駆け抜けていった。

残るのは清々しさだけだった。

思いもよらないわくわくする未来に連れてってくれそうな予感はもう予感なんかではなくなっていた。